忍者ブログ

和訳でみる古典   作成中

古文、漢文を日本語に和訳します!!

鴻門之会 全訳

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

鴻門之会 全訳

本文

沛公旦日従百余騎来見項王、至鴻門、謝曰、
「臣与将軍戮力而攻秦。将軍戦河北、臣戦河南。然不自意能先入関破秦、得復見将軍於此。今者有

小人之言、令将軍与臣有郤。」
項王曰、「此沛公左司馬曹無傷言之。不然、籍何以至此。」
項王即日、因留沛公余飲。
項王・項伯東嚮坐、亜父南嚮坐。
亜父者范増也。
沛公北嚮坐、張良西嚮侍。
范増数々目項王、挙所佩玉玦、以示之者三。
項王黙然不応。范増起出、召項荘謂曰、
「君王為人不忍。若入前為寿。寿畢、請以剣舞、因撃沛公於坐殺之。不者、若属皆且為所虜。」
荘則入為寿。寿畢曰、
「君王与沛公飲。軍中無以為楽請以剣舞。」
項王曰、「諾。」項荘抜剣起舞。項伯亦抜剣起舞、常以身翼蔽沛公。荘不得撃。
於此張良至軍門、見樊噲。
樊噲曰、「今日之事何如。」
良曰、「甚急。今者項荘抜剣舞。其意常在沛公也。」
噲曰、「此迫矣。臣請、入与之同命。」
噲即帯剣擁盾入軍門。
交戟之衛士、欲止不内。樊噲側其盾、以撞。衛士仆地。噲遂入、披帷西嚮立、瞋目視項王。頭髪上指、目眦尽裂。
項王按剣而跽曰、「客何為者。」
張良曰、「沛公之参乗樊噲者也。」
項王曰、「壮士。賜之卮酒。」
則与斗卮酒。噲拝謝起、立而飲之。
項王曰、「下賜之彘肩。」則与一生彘肩。樊噲覆其盾を地、加彘肩上、抜剣切而啗之。
項王曰、「壮士。能復飲乎。」
樊噲曰、「臣死且不避。卮酒安足辞。夫秦王有虎狼之心。殺人如不能挙、刑人如挙不勝。

天下皆叛之。懐王与諸将訳曰、『先破秦入咸陽者、王之。』
今沛公先破秦入咸陽毫毛不敢有所近。封閉宮室、還軍覇上、以待大王来。
故遣将守関者、備他盗出入与非常也。労苦而功高如此。未有封侯之賞。而聴細説、欲誅有功之人。此亡秦之続耳。窃為大王不取也。」

項王未有以応。曰、「坐。」樊噲従良坐。坐須臾、沛公起如廁、因招樊噲出。



沛公(劉邦)が翌日、百騎余りの兵を従えて、項王(項羽)にお会いしに来て謝って言うことには、
「私めは将軍様(項羽)と力を合わせて秦を攻めてきました。将軍様は黄河の北方で戦い、私は南方で戦いました。しかしながら、私のほうが先に関中に入って将軍様にお会いすることになったのは思いがけないことです。今、つまらない人が将軍様と私を仲違させようとしています。」
項王が言うことには、「沛公殿の部下である左司馬(役職名)の曹無傷(人名)がこれを言ったのだ。そうでなければどうして私がこのような状態になろうか、いや、こうはならない。」項王はその日のうちに沛公を引き留め、共に酒を飲んだ。
項王・項伯は東に向かって座り、亜父は南に向かって座る。
亜父とは范増である。
沛公は北に向かって座り、張良は西に向かって待機する。
范増はしばしば項王に目配せして、腰の飾り玉を項王に何度も見せた。(「沛公を殺せ」の意味。)
項王は黙っていて反応しなかった。范増が立って外に出て項荘を呼び出して言うことには、
「項王さまは残忍なことができない人である。お前は項王さまたちの前に出て杯を献じ、長寿を祝い、それが終わったら項王に頼んで剣を舞って、沛公のことを宴の席で殺してしまいなさい。そうしなければお前の一族は皆、今にも沛公の捕虜となってしまうだろう。」
そこで項荘は宴の席に入って、長寿を祈る挨拶をした。挨拶が終わって項荘が言うことには、「項王さまは沛公殿と宴を開いております。陣中には楽しみがございません。どうか剣をもって舞わせてください。」と。
項王が言うことには「よろしい。」と。項荘は剣を抜いて立って舞う。項伯もまた、剣を抜いて立って、沛公を常に守る様にして舞った。項荘は沛公を殺すことができなかった。
そこで張良は軍門に入って樊噲に会う。
樊噲が言うことには「今日のことはどのような様子ですか。」と。
張良が言うことには、「ひどく差し迫っている。今項荘は剣を抜いて舞った。その気持ちは常に沛公を殺すことにあるのだ。」と。
樊噲が言うことには「それは切迫した状況だ。私は何とかこの宴の席に入って、沛公殿と生死をともにしたいものだ。」
樊噲はすぐに盾を抱えて軍門の中に入って行った。戟を交差させて検問する門番の兵士は樊噲を止めて門の中に入れようとしなかった。樊噲はその盾を体にあてがい、斜めに傾けてそれで兵士を突き倒した。兵士は地面に倒れた。樊噲はとうとう入って、垂れ幕をかきあげて西に向かって立ち、目をいからして項王をじっと見る。頭髪は上を向いて、まなじりは全て裂けるようであった。
項王が剣を手にとって身の危険を案じて言うことには、「お前は何者だ。」と。
張良が言うことには、「沛公の参乗である沛公という者です。」と。
項王が言うことには「勇ましいなあ。この者に大きな杯に注がれた酒を与えよ。」と。
そして一斗の酒を与える。樊噲は礼をしながら立ちあがって、これを立ったまま飲んだ。
項王が言うことには、「この者に豚の肩肉を与えよ。」と。そこで、一つの豚の肩の生肉を与えた。樊噲はその盾を地面に伏せて置き、豚の肩肉をその上にのせて剣を抜いて切ってこれを食べた。
項王が言うことには、「勇ましいなあ。まだ飲むことができるか。」と。
樊噲が言うことには、「私は死ぬことさえ避けません。まして大杯の酒などどうして辞退しましょうか。いや、辞退したりはしません。そもそも項王は虎や狼のように残忍な心をもっている。人を殺すことは数えることができないほどで、人を処刑することは、処刑しつくせないことを恐れるほどであった。天下の人は、皆、秦王にそむいた。懐王が諸将と約束して言うことには、『先に秦を破って寛容に入場した者を王としましょう。』と。
今、沛公は先に秦を破って咸陽に入り、少しも自分の身に近づけようとしなかった。(財宝を奪おうとしなかった。)宮室を閉じて帰って覇上のほとりに軍を位置させ、そして大王が来るのを待っていた。
わざわざ将兵を派遣して関所を守らせたのは他の盗賊の侵入と非常時に備えるためでした。骨折りをして功績が高いことはこのようである。恩賞として諸侯に取り立てることもない。それなのにくだらない話を聞いて功績のある人を殺そうとする。このことは滅びた秦の二の舞になるばかりです。失礼ながら、大王さまには賛同しかねることでございます。」と。

項王はまだ返事をしない。いうことには、「座れ。」と。樊噲は張良にしたがって座った。突然沛公は立ち上がって便所に行って樊噲を招いて出た。

PR

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

リンク

P R