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「若紫の君」源氏物語 ②

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「若紫の君」源氏物語 ②

本文

きよげなる大人二人ばかり、さては童べぞ出で入り遊ぶ。中に、十ばかりにやあらむと見えて、白き衣、山吹などのなえたる着て,走り来たる女子、あまた見えつる子どもに似るべうもあらず、いみ
じく生ひ先見えて、うつくしげなる容貌なり。髪は扇を広げたるようにゆらゆらとして、顔はいと赤くすりなしてたてり。


こざっぱりとした年配の女房が二人ほど、その他に子どもが出たり入ったりして遊んでいる。その中に、十歳ばかりであろうかと見えて、白い単衣の上に山吹襲で、くたくたになった着物を着て走ってくる女の子は、大勢見えている子供に似るはずもなく(比べようもない、の意味)成長してゆく先の美しさが思われて、かわいらしい顔つきである。髪は扇を広げたようにゆらゆらとして顔はたいそう赤く(泣いている様)こすったようにして立っている。


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